サーモグラフィでは温度上昇の可視化はしやすい反面、温度変化、温度低下、パターン表示は視認し難いことがあります。MCR Type Dは微小領域計測の機能を持ちつつ、TDシリーズの全機能を引き継ぎ、かつGUIを改善した新しい差分計測用のアプリケーションです。様々な差分、積分等の特徴量と画像出力を独自のアルゴリズムと色諧調で可視化します。
ミクロンレベルの表面・内部の欠陥は空間的にも温度差的にも捉えることが難しいため、異常という性質を特徴として捉える必要があります。自己発熱や印加、表面・裏面加熱冷却などで、異常を表面に温度値として表出しても、捉えるには信号が弱すぎる、一瞬しか変化しない、周囲への熱伝導の影響で可視化できない等の問題が生じます。サーマルヴューX MCR TypeDはこうした弱い信号、短い変化時間、埋もれた温度差を別のアプローチで抽出します。
Type Dには、微分値や積分値などの特性を作成する機能があります。この機能により、単に高温や低温を解釈できるだけでなく、故障、破損、不安定、良不良、伝導、放熱などの現象の概念解釈に役立ちます。
これは、顕微鏡サーモグラフィーを使用して問題を検出し、サンプルの状態を理解する方法を拡張する、新しい手法です。
様々な計算式を搭載し、画像化することができます。
瞬時差分、基準差分、微分差分、瞬時差分積分、基準差分積分を用いて温度差、温度変化、変化の中心や異質な温度を検出し、捉えたい新しい概念を作成するのに役立ちます。
タイプ D は、短時間または 1 秒間に熱がどの程度変化するかを示す瞬間差分画像を提供します。
これは、通常の熱画像とはまったく異なる機能であり、背景ノイズを排除し、変化が実際にどこで始まるか、または発生するかを明確にします。一瞬の温度上昇、一瞬の温度低下を見逃さない機能です。
基準として指定したデータから熱がどの程度変化するかを示す基準差分画像を提供します。
背景ノイズを排除し、表面がどのように加熱または冷却されるかを明確にします。
単位時間(1s)ごとの差分映像を表示できます。
設備や製品の温度飽和状態の確認など、挙動や状態確認に用います。
基準微分画像の積分画像により、表面温度の特徴と、問題となる熱がサンプル表面上にどれだけ漂っているか、または蓄積されているかを表現します。
積算された値は解釈可能な計算式を作成することで別の概念に転用することができます。リークなど僅かな温度変化でも可視化に役立ちます。
瞬間微分画像の積分画像により、表面温度の特徴と サンプル上の問題の中心点がどこにあるかを表現します。
積算された値は変化の中心点を示し、熱画像による分布とは異なります。温度変化の違いや表面放射率が異なる微小な影響を可視化して、内部・表面の問題点の発見に役立ちます。
通電不良、キズ、割れ、欠け、空隙・ボイド、その他不良解析から、熱伝導性、材料性質評価、等用途は多様です。
印加に対するアウトプット評価や定量化等にも利用できます。応用して設備の加熱飽和点を制御することにも用いられます。新しい様々な利用が進んでいます。