コンセプト|PCB検査と顕微鏡サーモグラフィ
PCB(Print Circuit Board、電子基板)は半導体技術と歩調を合わせながら、最終用途のニーズの影響を受けて技術的変化が大きく進んでいます。近年、スマートフォンやAI機器のために超小型化、高性能化が急速に進み、従来の基板設計から部品集積度の高い設計への移行が加速しています。超高密度PCBの世界市場規模はGlobal Information等によれば2024年の18億6,000万米ドルから拡大し、2031年には61億5,000万米ドルに達すると予測されています。一方生成AI用サーバー等大量の計算処理を必要とするPCBでは大型化多層化や新規材料の採用等が進んでいます。
半導体のようなナノスケールの問題とは異なり、PCB製造や検査では実環境の中でミクロンレベルサイズの品質向上と課題に対して戦っています。極小化、高集積化、様々な電源動作条件、実装、磁場、そして発熱と多様な条件に対応する必要があります。超小型化や大規模化、高性能、高密度、立体化を取り入れた現代のPCBはその微細化、集積化ゆえにリークやショート等の問題個所の特定が困難で遅延型の不具合の増加も生じており、試験・検査の重要性が増しています。
なぜ今、PCBの異常個所の特定が難しくなっているのか
・高集積化(微細化・多層化)の進展
外観検査やテスター等手作業での1つ1つの部品分析を困難にしている。
立体的な回路構造が進み、テスターでは不具合経路を追跡することが困難。
・低消費電力化の進展
近年低消費電力化が急速に進み、マイクロアンペア、あるいはサブマイクロアンペアのPCBでは、発熱量が小さく、通常のサーモグラフィではとらえることが困難。
・実動作時の設定でのみ起きるケースがある
実動作時での電圧、クロックやタイミングでのみ生じる場合、通常の導通テストでは判断できないため、原因箇所を特定しにくい
・静電気、人為的要因
人的要因の場合、無作為に起きるため過去のデータから傾向がつかめない
正常動作確認を行う試験や状態の可視化を行う検査はその役割によって多様に存在します。主に電気的試験、構造的観察、熱的異常検出があり、サーモグラフィはPCBの動作を確認しながら熱によって正常・異常の可視化が可能な検査法です。原因特定が困難な不良や時間が経ってから起きる問題、テスターで問題ありと知っても場所の特定ができない、部品の不具合等に伴う微小リークや狭小リード間のショートの可視化・該当箇所の推定には高解像度のサーモグラフィ計測が適しています。
微小発熱を捉える技術
「これまで、こうした微小な熱は熱電対などの接触式では測れず、一般的なサーモグラフィでも解像度不足や熱ノイズによって見落とされてきました。かといって、数千万円もする超高額な大がかりな解析装置を何台も導入するのは現実的ではありません。ここに大きな技術的ギャップが存在していました。」
高解像度・高温度分解能・可視化アルゴリズムの組み合わせが、従来見えなかった異常を捉えます。
1.高解像度技術(非冷却型で6μm台から)でミクロンレベル観察
微小部品・微細配線周辺の局所発熱を検出
2. 独自アルゴリズム
高分解能技術(顕微鏡サーモグラフィで温度差0.1℃以下を分解)
高精度技術により微小領域特有の温度精度低下を改善
3.強力なソフトウェアと可視化技術
わずかな変化を可視化し、異常の見落としを低減
電源印加前と後の差、あるいは繰り返しによる積分値を抽出、統計アルゴリズムを用いて発熱の有無を色調分解、機械学習を用いた識別
リーク・ショート
リークは近年増えてきた問題で、原因特定が困難な厄介な問題です。リークは現象なので原因となる箇所・部品を特定する必要があります。電気的に調べるにはかなりの作業量になり、その上で不明な場合もあります。これらは発熱解析で発見可能ですが、もともと流す電流が小さく、分解能、解像度、機能の全てで最も性能・機能に対する要求度の高い用途の1つになります。
ショートはさらに速度を必要とし、現象面で異なりますが、熱画像による解析で特定可能です。ホットスポットの検出と計測は高い性能と正確なキャリブレーションを必要とします。一方で多くの情報が含まれています。サーマルヴューXではこれらに対応した機能をご用意しています。
配線・リード・ボンディングワイヤの温度計測
フレキシブルボードは応力がかかるため特定部位の異常発熱が問題になります。ワイヤーボンディングに関係する部位も同様に考えられます。
コネクタ関係、はんだ等測定部位が極小化して温度計測が難しくなっています。局所計測の重要性と同時にワーキングディスタンスが重要になります。
サーマルヴューXとPCB検査
電子基板設計・開発・EMS企業ではデバイスの小型化に応えて高い集積度、超小型構成品、薄く多数の積層の中で品質向上を続けられていますが、一方で最終製品・デバイスの性能向上と極小設計要求、耐久性と柔軟性の必要性というように関連技術の矛盾や困難を両立を迫られています。顕微鏡サーモグラフィによる分析・検査の重要性は高まっていくと考えられます。
サーマルヴューXはこれら新しい課題に対応します。最新の技術を搭載したラインナップではPCBリークファインダー、PCBインスペクターと検査システムのご用意とサーマルヴューX MCRシリーズという顕微鏡サーモグラフィ単体のご利用が可能です。
サーマルヴューX MCR PCBリークファインダー
熱で電流リーク箇所とリーク部品を特定する新しいサーモグラフィ検査装置です。PCBリークファインダーは、微小な熱変化を捉え、リークの原因箇所を可視化します。従来は電気的に現象を把握しても、部品レベルの原因特定が難しかった現象を熱から原因に迫ります。“故障現象の把握”から“原因箇所の可視化”へ進むための装置です。
サーマルヴューX MCR PCBリークファインダーには以下の特徴があります。
・微小部品が高密度に実装された電子基板に対応
・不具合に起因する電流リークやショート、局所の異常発熱の発生個所や該当部品を検出、可視化する
・原因箇所を画像として可視化し、解析対象を瞬時に絞り込む
・低コストでコンパクト
・“異常がある”から一歩進み、“どこが原因か”に迫る技術
今後のPCB検査
PCBリークファインダーは、故障解析のスピード・精度・共有性を変えます。
故障部位特定の迅速化
原因候補を熱分布から絞り込み
工数削減
数日単位の人手調査を短縮
可視化による判断支援
部門内・顧客間で説明しやすい
属人化の低減
ベテラン依存の解析から標準化へ
品質保証の高度化
再発防止・設計改善へのフィードバックにも活用可能
AIを含めた予測可能な技術の発展が進む一方、新しい技術には新しい課題が生じるため、その予測の不確実性は常に再生産されます。予測技術にはデータが必要であり、その陰には必ず人の試行錯誤が必要です。製造業、特に品質保証では妥当な手法で説明可能な報告が必要であり、そのためには検査技術と検査の熟練が必要であり、常に新しく更新される必要があります。
-> サーマルヴューX MCR PCBリークファインダー
