NETD::NETD(雑音等価温度差、温度分解能)とは


  • NETDとは

 サーモグラフィの信号とノイズを温度で表した物で、どれだけ細かい温度差を見分けられるかの指標です。
 Noise Equivalent Temperature Differenceの略で雑音等価温度差とも言います。温度分解能や感度などメーカーによって表記が異なります。


  • 定義

 その検知素子がどれだけ細かい温度差を見分けることができるかを表し、 評価は2点温度を測定しその温度差を信号と雑音の比で割った値を雑音に等しい温度としています。
つまりちょうど温度差として見えなくなる値を示しており、そのため温度分解能や感度として説明されています。 通常~℃以下という表記で、偏差を加味した表記になっています。 世界中で使用される規格であり、国内では防衛省規格として使用されています。



  • パラメータ

 これは検出器の感度特性、露光時間や光学系(カメラレンズ、センサパッケージ・デュワの開口)、信号取得のタイミングなどが影響します。 センサ感度が悪くとも開口を大きくすればNETDは良くなりますし、その逆も言えます。そのためNETDは装置としての感度と言えます。 そのためセンサのNETDとカメラのNETDはその検討するパラメータが異なります。
 非冷却型では通常変更できるものはレンズだけで、レンズのF/#によるNETDの変化に留意が必要なだけですが、 冷却型は露光時間設定、センサF/#、レンズF/#など留意する点が多くなるので注意が必要です。



  • 計測・用途

 NETDはノイズになる温度差であり、S/Nそのものであるため、計測値と考え方が異なります。
計測では再現性やドリフトといった要素があり、計測上はNETDに対して十分大きい温度差が必要です。 市販ではNETDが0.5℃のものから1桁、2桁よいものまで様々にあります。 配電盤の検査では目標とする温度差が大きいためNETDは重要ではありませんが、 温度変化が小さいものほど高感度の非冷却型、それでも不足であれば冷却型を選択することになります。 細かい温度差を出すためには再現性の補正と統計処理が必要になる場合があります。 その定義上NETDより細かい計測はできません。