Check Purpose::サーモグラフィ計測における目的の確認
当たり前のようですが、目的の確認が第一の確認事項です。弊社にサーモグラフィのご相談を受けた際にも必ず伺います。
サーモグラフィ計測において目的=何を何のために測定するのか、を確認することは測定の可否、機種の選定を判断するための重要な情報になるからです。
つまり、場合によってはサーモグラフィが使えないということがあるということです。
たとえば投薬前後の体温変化をみるために衣服の上から体温を測定したい、とします。
しかしサーモグラフィは表面温度を測定するカメラです。一部の特殊な材質はサーモグラフィで使用する赤外線を透過しますが、多くの材質は透過せず、吸収か反射します。
ですから着衣したまま皮膚温を直接測定することはできません。測定できるのは衣服の表面温度です。
皮膚から熱が伝導した影響がその薄さに応じて衣服の表面温度に現れますが、直接測定することは出来ない、ということになります。
ある刺激前後の皮膚温度の変化を見るという目的において、最終的な結果、得たい結果はどういった内容でしょうか。
手先の抹消温度が温熱により5℃変化するだろう、という内容であれば変化自体は多くのサーモグラフィで得られることが予想されます。
ノイズに同等となる温度差であるNETD(温度分解能)は低価格なものでも0.2℃程度あり、その10倍を見ても2℃差となります。
再現性や精度をどこまで求めるかによって変わりますが、変化自体をとらえることに問題がある可能性は低そうです。
しかし例えば、変化が1℃やそれ未満しか望めない場合や、0.数℃の変化を数値化したい、統計処理したいといった場合は、
NETD(温度分解能)や再現性が大きく影響します。こうした場合はサーモグラフィの性能やソフトウェアの補正機能、
処理機能が非常に重要になります。
目的次第ではサーモグラフィが不適切な場合があります。
サーモグラフィの性能判断や、適切なセットアップのために、目的を明確にすることが大切です。
目的別にどういった性能、機能を選択したら良いか、セットアップはどうすればよいか、どういった注意点があるのか、
コストと性能・機能の比較など、事前検証が重要です。
次ページ>>測定温度範囲
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目的(何を何のために)
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測定温度範囲
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目標精度・再現性
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感度(温度分解能)
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画像の細かさ(目的、対象物の大きさ、撮影範囲)
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サーモグラフィ設置条件(撮影距離、障害物、周囲の状況)