黒体に赤外線が入射すると最終的に全て分子振動に変わり吸収されます。
しかし黒体でない物質に赤外線が入射すると、吸収以外にその電磁場の影響から反射と透過が生じます。
反射と透過は最終的に物質の温度に影響を残さず物質から放出されるため、サーモグラフィでの計測では邪魔な存在です。
ここで物質が温度平衡状態にあるとすれば、吸収された赤外線は最終的に全て放出されます。
これが放射であり、この関係をキルヒホッフの法則と言います。
物質に赤外線が入射すると、物質からはある確率で反射、透過、放射のいずれかが起きます。
その確率は物質ごとの要因により決まり、その合計は100%になります。
前述のように、反射と透過はサーモグラフィでの計測には不必要ですが、サーモグラフィから見るとその区別なく入射してきます。
サーモグラフィはその入射光が物質の温度に応じた放射なのか反射・透過なのかを見分けることは出来ません。よって放射・透過・反射全て入った入射光の積分値を、計算で振り分ける必要があります。
全放射量から反射・透過を差し引いたものが放射ということになります。放射は黒体放射に比べて放射率分低くなっています。
そのため放射率で除算し、黒体換算の放射量を算出し、物質の温度を推定します。通常サーモグラフィでは上記の計算を放射率と周囲温度を設定するだけで自動で行います。