Infrared Ray::赤外線とは


  • 赤外線とは

 赤外線は電磁波の一種で、波長約0.75μmから1mmまでの電磁波を指します。

人が生活する雰囲気温度約25℃付近の物質からよく放射される電磁波の波長は10μmに当たります。しばしば遠赤外線とよばれる電磁波です。ですから周囲では赤外線が飛び回っていることになります。 人が見ることが出来る可視光は波長約0.4μmから0.75μmです。赤外線はそれより長い波長の電磁波で、肉眼で感知することはありません。赤外線は主に人が熱として感じる領域で、熱線と呼ぶこともあります。


  • 赤外線の発見

 赤外線は200年前にW. Hershellがプリズムでの実験で発見したとされています。 分光された光の赤色の外側に熱発生が認められ、時を経てその見えない光は赤外線と名付けられました。



  • 赤外線の種類

 赤外線では近赤外、中赤外、遠赤外領域に分けることが多く、近赤外域もNIR(Near Infrared)とSWIR(Short Wave Infrared)に分け、 遠赤外域も30μmを超えサブミリ波の領域までを近年テラヘルツとして扱うこともあります。



  • 近・中・遠赤外線

 近赤外域は波長約0.75μmから2.5μm程度を指し、光として捉えることが多い範囲になります。NIR領域はおおよそ0.75μmから1μm強の光としての要素が強く、主に赤外CCDの感度領域に当てはまります。 SWIRは1μm弱から2.5μm程度の範囲でInGaAsセンサが該当します。光電子倍増管を使ったイメージインテンシファイアではその両方があります。

中赤外域は3μmから5μmの大気の窓に当たります。熱として捉える短波長赤外線であり、温度300から700℃前後に相当します。 InSbやMCT、PtSi、QWIP、QDIP、Lattice系といった化合物半導体が感度良く使える波長帯であり、長距離であっても感度良く捉えることの出来る赤外線です。

遠赤外域は8μmから14μmの大気の窓に当たり、熱とて捉える長波長赤外線です。室温付近で10μmの赤外線を効率よく放射するため、比較的低温に対応している赤外線と言えます。 MCTやQWIP、長波長に感度強化したボロメータ、サーモパイルなどが感度対応します。


  • 応用範囲

 光としての特性と熱としての特性両方を使用することが出来るため、温度計測、検知・識別、スペクトル分析など幅広い応用範囲があります。