サーモグラフィは事前に黒体炉との比較情報を入れること(較正)で温度未知の物体の温度を推測する計測器です。
しかし較正環境と異なる環境で計測するため、環境温度、カメラ自体の温度、測定距離、放射率の違いなどの影響で計測値がずれることがあります。
その問題を解消するため黒体炉など基準となる熱源を計測しながら温度未知の被写体を計測する手法(オフセット)があります。
この手法のメリットは異なる環境、異なる時間に計測した結果の再現性を黒体炉に近づけることができます。
また被写体との測定距離が黒体炉など基準との測定距離と同じで、放射率も同等であれば、黒体炉の設定温度では測定精度を黒体炉に近づけることができます。
>>再現性について
黒体炉を用いても、黒体炉との距離が異なれば測定精度は改善できません。
また黒体炉の設定温度と異なる温度に関して精度が改善するかはサーモグラフィ内の処理によります。
サーモグラフィのセンサ感度は線形ではないので、特別な処理がなく事前の較正が正しくなければ、誤差はむしろ大きくなります。
サーモグラフィは温度センサ(画素)が数万~数十万並んだ面センサであるため、各画素のばらつきが影響します。
黒体炉を用いた場合の再現性には影響しませんが、計測精度は各画素間のばらつき分だけ黒体炉に対してずれることになります。各画素間のばらつき具合を面内均一性と言い、いかに均一かが重要となります。