Repeatability::測定再現性


  • 再現性

 再現性とは、同じ温度のものを時間をおいて計測したときに、どれだけ同じ値が取得できるか、を指します。
常に同じ値が得られることを期待されますが、いくつかの要因である範囲での変動が生じます。


  • ドリフト

 カメラの自己発熱や環境温度変化により信号のふらつきが生じ、測定結果に影響を与えます。
>>ドリフトについて



  • 環境温度の変化

 サーモグラフィはプランク関数を利用した計測装置です。
背景放射は測定値のノイズオフセット分として差し引いて計算します。 環境温度が変動することで、差し引くべき背景放射が変動し、計算結果が変動します。



  • NUC

 NUCは測定面の不均一性を補正すると同時に、元々測定値のドリフトをオフセットキャリブレーションするために設けられているサーモグラフィ独特の機構・機能です。
NUCは内部のNUCシャッター近くに温度計を付加することで、ドリフトを差し引きます。 しかし、自己発熱や環境温度の変化でシャッターの実温度と測定結果に差が生じると、却って変動要素となることがあります。 使っていたら、突然1℃ぐらい温度が変わっていた、という経験はないでしょうか。


  • グレードと対策

 再現性はサーモグラフィのグレード、設計によって異なります。
冷却型はセンサをデュワ内に液体窒素温度で安定させるため高い安定性が得られますが、ドリフト0というわけではありません。 非冷却型は室温付近で動作させる作動原理から、再現性は比較的低くなります。
温度変化が小さい対象を測定する場合、再現性は精度以上に重要で、その対策が必要となります。
ハードウェア的に性能が高いものを選択する方法とソフトウェア的に対策を取る方法があり、その計測目的、ゴールと予算に応じて検討することになります。